id:kajika0
たぶん私の方が少数派なんですが、特に十兵衛と梶原の思想がよくわかんないんですよね。陽側の人とか、陰でもあんまり選択肢がなさそうな人(工藤とか佐川兄とか)が、格闘にこだわったり、逆に闇討ち騙し討ち上等なのは理解できるんですが。
十兵衛も梶原もすごく優秀で倫理観もないんだから、「陰陽トーナメント上で工藤や文学を負かす」ことにこだわらないで、コネでも金でも蓄えて、いくらでも謀殺したり相手の尊厳を貶めて復讐できるじゃん、と思ってしまう。
もし、十兵衛や梶原が「工藤/文学との決着は陰陽トーナメントでつけるけど、毒も会場操作も駆使するよ」って言うなら、いっそ私生活中に暗殺しろよって思うし、「因縁の相手だからこいつだけは工作なしで正々堂々戦うよ」っていうなら理解はできるけど、たぶん工藤とか文学の立場で考えたら向こうが正々堂々勝負に臨んでるなんて信じられるわけなく、疑念でリソース削られる時点で不平等じゃん、と思っちゃったら、個人的にはハマらないんですよね。
工作が飛び交うのは面白いしこの漫画の特徴だと思うけど、「最強の格闘技は〜」ってコピーとはズレてるぞ、とも思ってて、もうちょっと普通に戦ってくれた方が好みです。
完璧なウォーターマークが実現できたと仮定して、理想とする未来や接点を持つメディアによっても重要性が違うかな、と思う。
政治で言うと、人間の自治が重要って前提なら、snsや動画配信ではウォーターマーク絶対必要だと思う。現行では、「話してる相手や作った人は人間」っていう受け取る側の油断や好意にタダ乗りして、相手の時間と感情をAI製で過剰に消耗させることができてしまってるので。
人間の自治は不必要で、理想とする善の実現には邪魔ですらある、って考えなら、ウォーターマークいらないと思う。AIの活躍を阻害する要因はすべて排除して、人工知能がユートピアを作る未来に全ベットするのもありだと思う。
創作で言うと、「人が指す将棋とAIが指す将棋の意味合いや感動は別物」って意見があると思うけど、個人的にはこれに近い。
面白ければいいじゃん、ってミステリとかエンタメが人の手によって書かれることは、俺は望んでないので、AIが好きに書いたらいいし、ウォーターマークもいらない。
一方で、純文は人が書いたものであって欲しいし、「人間製」の証明が欲しい。AIに感動させられたらシャクなので(ナイーブですね)。自分が読んで面白かった本を書きます!
『オカルト・クロニクル』
2018年、洋泉社刊行。超常現象にまつわる東西の出来事や、未解決事件をまとめた
大著。
軽妙な文体でさくさく読めるが、資料の調査はすごく緻密で、素晴らしい充実感のある
作品。
「オカルトは好き、でも科学的な検証をないがしろにはできない」という、作者の面倒くさ
くて、かつ真摯な価値観が見られるのも特徴。超常現象肯定に向かって直進すればい
いところを、作者自身の手によって頻繁に茶々が入る作風で、一定数のマニアはそれを
「本当のオカルトはそうであってこそ」と歓迎するはず。この世にはいくらかいるはずだ。「科
学のツッコミにちゃんと耐えきってこそ真のオカルトだ」という人たちが。
これ一冊で怪奇と犯罪の有名どころを同時に学べる、入門書にして決定版(最近2作
目が出ました)。『対馬の海に沈む』
2024年、集英社刊行。長崎の農協を舞台とする巨額の横領事件について、中心人物
とされるエース営業マンの半生と周囲の人物を取材したルポルタージュ。
当該の営業マンの死(自死とみられる)によって、事件そのものいったんは幕引きがされ
ており、「全容はおそらくこうだったのではないか」というおおよその仮説が立っている。
しかし、この人物が犯罪の中心を担った悪人であることはおそらく間違いないにしても、悪い
のは彼だけだったのか、組織、あるいは土地に、犯罪の推進役として泥をかぶれる、頭脳と
行動力を兼ね備えた人材を待ち焦がれているところはなかったか…と読んだ人の多くが思う
のでは。
突き詰めると、この世の構造そのものに何か深刻な欠陥があるんじゃないか…という、本当
に苦い気分で世の中全体を見渡す機会になる傑作。『怪死』
2025年、亜紀書房刊行。海外の事例を中心に、連続殺人や考古学上の発見に関する
スキャンダルをいくつか取材し、その顛末についてまとめた翻訳作品。
取り上げられる謎や発見が魅力的なだけでなく、解決に向けて動く司法や騒動を楽しむ市
民、発掘したら出てきたものが巻き起こす政治上の繊細な問題など、生きてる人間のごたご
たに関する描写が多いのも特徴。ミステリーでわくわくするのと同時に、「うわ~めんどくさそう
だな~」と独り言つぶやきながら苦笑いする、そんな感じ。海外ドラマとかナショナルジオグラ
フィックとかが好きな人におすすめ。『幽霊物件案内』
2000年、同朋舎刊行。作者が耳にした怪事件に関連するルポや、作者自身の体験談を
まとめたホラー作品。番外編にして最終兵器。
番外編という扱いにしたのは、紹介されている事件がどれもあまりにマイナーで地味だから。
最終兵器と表現したのは、全編が異様なまでに不穏で怖すぎるから。
もはや、言及されている事件だけでなく作者自身まで気味が悪くて、出てくる話もその説
明の仕方も、猛烈に得体に知れず、読んでいてずっと体調が悪くなるぐらい怖かった。
実話怪談が好きな人におすすめ。